ご挨拶

上原昭男(うえはら あきお)と申します。

1973年4月11日、父 上原辰次と共に琉球うるし工芸を南風原町に設立いたしました。

その後、現在の那覇市識名に移転しております。

会社経営以前は、大学卒業後米国民政府広報局でテレビ・ラジオの番組制作を担当し、主にドキュメンタリーフィルムの制作、沖縄県内のトピックスをテレビ・ラジオにて放送することに携わっておりました。

こうした報道制作の経験が、そののちに漆器会社経営の商品開発、イベント企画に大いに役立っています。

父 辰次は、漆器専門の技術者、経営者として50年この道一筋で

生きてきた人で、戦前の紅房創設に携わっておりました。

私は、幼い頃から漆器工場の周辺で育ったとはいえ、前職からしても全くの未経験で

この世界に飛び込みその後40年間、父と同様にこの世界で生きており、経営年数を父と合わせると

約100年という1世紀にも渡って親子で関わってきたことになり

よくここまで…と感慨深い想いであります。

漆器会社経営の傍ら、漆器組合の設立にも積極的に関わり、

昭和52年6月17日設立、主任・理事長として努めてまいりましたが

現在は厳しい経済状況ということもあり、表立った活動は休止状態と

なってしまっています。

そんな厳しい状況でも、歩みをとめず、これまでとは違った「何か」を模索し

平成8年度に日本グットデザイン振興会の事業で、当社の商品が

グットデザイン選定証をいただきました。

日頃より、商品開発に取り組んできた努力が報われ大変嬉しかったです。

また、平成23年度には那覇市90周年記念事業にて

伝統・文化功労賞部門で選出・表彰の栄を受けたことは

漆器業への長年の励みが認められたことに感無量の気持ちでした。

この表彰状は当社にて作製しており、受賞者の方々からもお褒めのお言葉を

いただいております。その後も継続して当社にて作製させていただいております。

今の漆器、その他伝統工芸業界は、とても厳しい状況にあり

コロナ禍の惨状をいかに克服するか至難の事態に直面しております。

沖縄の伝統漆器、伝統工芸をたやさないために、どのような策があるのか

業界の仲間と共に考えなければなりません。

伝統を大切にしながら、新しい世代にも受け入れられるよう

これからも試行錯誤しながら進んでいこうと思っています。

皆様に、琉球漆器を、沖縄の伝統工芸品をこれからも

お使い頂けますよう願い、私の挨拶とさせていただきます。