Ryukyu lacquerware

漆器の最も古い記録によりますと

1427年(応永34年)明の皇帝宜宗が琉球から漆を購入させたとあり、琉球では

この頃から既に漆の技法があったと考えられています。

その後廃藩置県まで幾度か工匠を中国に派遣し、「螺鈿」「沈金」「箔絵」その他さまざまな技法を学んでいます。

とりわけ1715年(正徳5年)比嘉乗昌が中国の加飾法から華麗な技法「堆錦」を編み出し、これが今日の

琉球漆器の代表的な加飾法となっています。

明治〜戦後〜現在

琉球王朝崩壊後は官業から民業へ。

1927年(昭和2年)沖縄県立工業高校指導所が開設され、ロクロ、製材の動力化による設備の近代化が図られました。

しかし1944年10月那覇大空襲ですべてに終止符が打たれ、そのまま敗戦となりました。

この間、様々な障害と戦いながら伝統工芸を守ってきました。

こうした中次第に県外からの観光客が増え、民芸ブームの影響もあいまって、県内ではにわかに地場産業振興の機運が高まり

1974年(昭和49年)に沖縄県指定の伝統工芸品に、1986年(昭和61年)に経済産業省指定の伝統的工芸品となり

お土産品として広く親しまれるようになっていきました。

琉球漆器の発展

高温多湿の沖縄の気候が漆器つくりにとても適しています。

漆を乾燥させる部屋の温度・湿度の調節が必要なかったことが発展の要因になったのではと

考えられています。

独自の加飾技法

琉球漆器の技法は、中国より伝来した漆器技法に沖縄独特の加飾法が加わり

編み出されています。

【堆錦】

【堆錦 ついきん】

漆に顔料を練り合わせ、餅状にしたものを板の上で薄く伸ばし

模様を切り抜き、器物に貼りつけ、その上でさらに細線を彫ったり

着色したりして仕上げる技法

この技法は沖縄独自の加飾法なので、沖縄ならではを味わえます。

【沈金 ちんきん】

漆を上塗りした表面に刃やのみで模様を彫り、彫りででき模様に生漆を摺り込み

乾燥する前に金箔や金粉を押し込んで乾燥させ、最後に余分な金箔などを拭き取ると

文様が現れる技法

【螺鈿 らでん】

光沢のある夜光貝や蝶貝などの貝殻の内側をやすりで薄く削って

絵柄の模様に合わせて切り抜き、漆で貼りつけたり埋め込んだり

する技法

琉球漆器の魅力

黒塗の上品さ、朱塗の鮮やかさ

どれもその場を華やかにするだけではなく

お料理が映えること間違い無しです。

一般的に漆器は高価で、お正月などの特別な日にだけ使うイメージがありますが

琉球漆器は気軽に使っていただけるものも数多くあります。

定番の重箱、飾り皿も様々な大きさがあるのでご飯もの、パスタはもちろんですが

スイーツにも合います。

カトラリーも充実しているので、普段使いとして取り入れやすいと思います。

漆器は木地に漆を塗っており、断熱性があり、冷たい物を入れても外側が濡れず、

お椀に入れた汁物などの熱は漆器部分には伝わりにくいため手や口元を火傷する

心配もありません。

また、漆には高い殺菌作用があります。

「漆器についた大腸菌が24時間後には死滅した」や

「コロナウィルスを漆器に付着させたら24時間後に99%以上のウィルスを減少させた」

などの実験結果の報告もあります。

このように抗菌性を持ち安全性の高い漆器は、食器に最適です。

2021年8月24日福井新聞より

新型コロナウイルス 99.9%以上減少

漆塗りを施した板に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス効果

があることを確認した。

漆塗板と未加工の試験板上にウイルスを接触させ24時間後、試験板から回収した

ウイルスの感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数)を測定するもので、

未加工品と比べ漆塗板の方が99.9%以上新型コロナウイルスが減少したことが

確認されました。

試験機関:一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(国指定検査機関)

試験方法:ISO21702プラスチック及びその他の非多孔質表面の抗ウイルス活性測定

試験実施:株式会社箕輪漆行

お手入れ方法

ご使用後は、さっと表面の汚れをぬるま湯(37度くらい)で流し、

薄めた食器用洗剤を布巾か柔らかなスポンジにつけて洗ってください。
すすぎを充分にし、水気は拭き取り自然乾燥させてください。
堆錦は擦るとはがれやすいため、優しくトントンと叩くように
汚れ・水気をとってください。
乾燥機は使用できません。

保管は直射日光を避けてください。

漆器は他の食器より、少しだけ優しく扱っていただければ

お手入れも簡単で日常的に十分お使いになれます。

ぜひ、普段の生活の中に漆器を取り入れてみてください。